第279回 歴史番組より学ぶ(織田信長と株)

NHKの歴史番組をみて思ったことについて書いていきたいと思う。自分は歴史が好きでテレビの歴史番組は時間があればなるべくみるようにしている。現在でNHKの地上波で放映されているものの中では「歴史探偵」よりも「知恵泉」(ちえいず)の方が好みである。

今回はその「知恵泉」をみていて織田信長の政策について放映されていた回が面白かった。「知恵泉」という番組はただ単に歴史上で起こった事実のみを解説するのではなく、現代の経営者や著名な人物をゲストとして招き、歴史上の出来事や人物の行動から現代に生きる我々が取り入れられることや参考にできることについて学ぶといったこれまでにはなかった歴史番組である。

以前の記事で「織田信長とメタバース」というものを書いたが、今回はそれと内容が似ていて「織田信長と株」といった題名で書いてみようと思った。

内容を簡潔に述べると、織田信長は有名で高価な茶器を家臣の褒美としても渡しており、その茶器の価値を土地以上に高めたことで有名である。これまでは武士の手柄の褒美として与えられるのは土地が一般的だった。しかし自分の秘蔵とする茶器のコレクションをそれに相当するくらいに高めたこと、これは現代で言えばバブル時代の地価の異常な値上がりであったり、株価の高騰であったりするということに自分は例えられると思っている。

よくよく考えてみれば、現代でも有名な絵画であったり、芸術品といったものは値段があってないようなものである。その価値はその時代その時代によって変動し価格も変わってくる。

今でも、コッホの絵などは数千万か数億か分からないがそれくらいの価値がある。それは昔の名の知られた有名な画家が描いていたからであるためそれだけの価値があるわけである。茶器も同様にその茶器が以前に誰が所有していたか、それによってその茶器の価値が変わるのである。例えば将軍がその茶器を所有していたら、次にその茶器を手に入れた人は「将軍」と同様のステイタスを得るというのである。

また信長はその茶器を使用して茶会を開ける権利も褒美としている。つまり家臣の中でもそういった権利を持っている人は他の家臣の中からでも上の立場にあるということの証明にもなる。

また信長がすごいのは、家臣が褒美として土地よりも信長が大切にしている茶器を所望したところ、信長はそれを与えずに土地を与えたという。これによりさらに茶器の価値をあげたのである。こう考えると信長は現代でいる経営者であったり、新しい事業を立ち上げる起業家といったイメージをもつ。きっと現代に生きていても事業を起こして成功していたであろう。

以前の記事では、土地のかわりにこういったステイタスを褒美としたことで、もしも信長が生きていたら秀吉のように日本の中で褒美とする土地がないため他国にまで進出して土地を奪うようなことはなくなったのではないかと書いたが、そういった信長の発想は旧来の価値観にはとらわれない新しい斬新なものであることが改めてよく分かった。現代に生きる自分たちにもハッと気づかされた面白い内容であった。

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