第274回 準優勝は嬉しいか(後編)

実は自分が高校生時代、一学期の成績がクラス全体の中で二位になった経験がある。

実は自分は文系で、クラスの中は少しだけ女子が多いが、当時は文系は女子、理系は男子の比率が高かった。当時は高校2年で当時の担任の先生は一学期ごとにクラスの成績の上位10位までの順位を紙に貼りだし生徒のやる気を高めるといったことをされており、一学期終わりごとにその時のクラスの上位者がクラス全員に分かる仕組みになっていたのである。よって一学期末に貼りだされた成績順位表をみて自分は愕然とした。

なぜならクラス1位から10位までには10人中8人は女子であり、残る2名は自分を含めて男子である。つまり男子の注目度は高い。しかも注目の1位の座には自分以外のその男子がついたのであったのだ。

その男子は見た目はとても面白くひょうきんで、場を盛り上げるのがとても得意でどちらかといえば秀才タイプにはみえなく、逆に自分は口数が少なく寡黙な性格で、彼とは真逆な感じなのである。どちらかといえば自分は自分にはない明るく面白いタイプを当時は目指しており、それらを全て兼ね備えていた彼を半ば羨ましく思っていたのである。

その彼がまさかクラスで1位とはとてもショックであった。自分はどちらかといえばスポーツや運動は苦手である。高校時代は軟式テニス部であったが、いくら練習しても上達することはなかった。当時の部活のクラスメイトからも人よりも成長が遅いとも言われる始末であった。一方で学業に関しては一応はやった分だけ成果として返ってくるので、どちらかといれば運動よりも学業の方が自分に合っていると思っていたのである。

それが、自分にない、しかも自分が欲しいと望んでいる性格を持っている彼がクラスのトップに立って注目されているということが自分としてはとても許せなく、悔しかったのである。

その後、自分はその成績一覧(当時は通知表に確か全員に配られたと思うが)それを機会があるごとに見返し、二学期は必ず自分の名前が一番の位置に書かれることを夢見ていつも以上に学業に励んだのである。

当時はその学期ごとの中間テストと期末テストの合計で成績順位が決まることになっているため、とにかく二学期はその2回のテストの点数をあげることに日々全力をつくした。

結果として二学期は自分がクラスの中で一位、彼が二位であった。その成績一覧をみた瞬間は高校2年の中では一番嬉しかった記憶がある。性格による明るさや面白さでは彼には勝てないので、成績では絶対に負けたくなかったのである。

これが、前回書いた二位は選手自身にとっては嬉しくないのではないかといった理由である。ご理解いただけましたでしょうか。

成績だけが高校時代の全てではないと思うが、自分としてはこれだけは負けたくはなかったので成績に関してはクラスで1位以外は嬉しくなかったのである。逆に万年運動音痴の自分が部活動で仮に入賞できたとしたら、たとえそれが1位でなくても嬉しかったと思う。

要は自分の目指すものに対しての結果が優勝か、入賞か、はたまた1回戦突破かの違いによって「準優勝」の価値は決まってくるのだと思う。はじめから「準優勝」を目標にする人はなかなかいないと思うが、自分の適切な目標があった上での結果として「2位」であれば、嬉しいか悔しいかはその人自身によるのではないだろうか。

最後によくよく考えて思い起こしてみたら、一学期のクラス全体の順位は二位ではなく六位だったことを思い出したのでお詫び申し上げたい。今回の題名の都合上「二位」ということにしてしまいました。お許しください。ちなみに三学期の結果は一学期、二学期、三学期の合計の成績を合算したものが発表されるため、最後のクラス順位は彼が一位に返り咲いた。自分は何位だったかは覚えてはいない。

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