第267回 昔と今

江戸時代に書かれた「葉隠」の解説動画をみて会社で話し合うといった数日前に書いた記事の続きである。実はその記事を書いた翌日、会社でそのことについて話し合った結果として、多くの方はためになったということを発表されていたが、内容の中で2つのことだけがちょっと今の時代にあわない考え方ではないかという意見がでた。

それは「奥ゆかしさ」という箇所で述べられていた「自分の能力をあまり誇張しすぎないことが大切である」ということ。あとはものごとを主君に箴言する場合には「主君の性格や考え方を考慮してものごとを言う」ということである。

この2つの主旨としてはあまり自分の能力を鼻にかけてはいけないということ。相手の気持ちを慮る、配慮することが大切だということである。しかし現代では江戸時代とは身分制度などの時代背景も違っていて、遠慮ということは昔は美徳であったかもしれなかったが、今の時代は遠慮することは本音ではなく気を使っているため相手にも失礼になるし、組織全体にしてもよくないことではないかという意見である。

確かに見方によってはその通りだと思った。それに関しては夫婦間という例えで説明されていた方がいて、それは一般的に現在の妻と結婚する前に付き合っている時は嫌われないよう気を遣うが、結婚してからは本当の素の自分をさらけ出すことになるのが普通である。それが本来の夫婦というもであり、夫婦間でお互いに言いたいことも言えずに一緒に過ごすのはぎこちなく仮面夫婦のようであり本当の夫婦ではないともいえるという例えである。

これを聴いて自分の意見としては、確かに現代の組織内においては言いたいことをしっかりと言える風土が大切である。しかしその前提として結婚して夫婦になるカップルのように、最初は相手との距離感をつかむことが大事である。そのために最初は動画でもあった「奥ゆかしさ」というような気配りを見せることも少し必要であり、その後言いたいこともしっかりと言える本音の付き合い方になっていくのが大切なのではないか。

いきなり初対面の人に対してため口をきく人は礼節に欠けるだろう。まずはお互いの距離が近づく様な潤滑油的な対応の仕方、そしてお互いに心許せるような間柄になるための段階を踏んでいくための秘訣がこの「葉隠」で言わんとしていることなのではないかとも感じたのである。

最後に、人との基本的な接し方、人情の機微といったことの大切さはいつの時代も同じだなと思ったのである。

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