第26回 ブロークンオープンウィンドウズ

昔、ニューヨークのジュリアーニ市長がニューヨークの犯罪を犯罪を減少させた対策として実行したことが軽犯罪の徹底的な取締りであった。地下鉄の落書きなどを一掃したところ重犯罪も激減したということである。

これは車などのガラスにヒビが入った状態で放置していると、その状態以上にエスカレートしてさらにひどい割れた状態になってしまうというブロークンウィンドウズという考え方を応用したものと言われている。人間の心理として、乱れた状態はさらにそれ以上の状態を誘発してしまう一因になってしまうということである。

よく犯罪現場のマンションの取材でたくさんある部屋のどこが事件が起こった現場かと確認する際、ベテランリポーターは教えられなくてもその場所が分かるそうである。一番汚いベランダの部屋がそうであると。

よく新たな会社と取引をしようかと考えている場合、実際にその会社に訪問して社内や工場を見学してみて判断するということはよく聞かれる話である。従業員の遅刻は多くないか、事務所の窓の汚れや灰皿の吸い殻は残されてないか、工場の床にゴミが落ちた状態になってないかなどをみることでその会社の製品の性能レベルが分かるそうである。そういった小さいことを見過ごしている会社とは取引をしないと聞いたことがある。

しかし考え方を変えてみると逆のこともまた言えるのではないか。たとえば募金箱を置いて募金を募っても中身がスカスカだと入れようと思う人は少ないであろう。だが中が見える状態になっており、硬貨だけではなく紙幣などもなみなみと入っている状態を目にすると逆に入れたくなってしまう。不思議な心理効果であるが、つまり良いことも同様に小さなことが派生した結果良い効果を生むのではないか。

例えば挨拶をする、笑顔で接する、ちょっとしたことでも感謝の言葉を述べるのなどで自分の身近な日常が少しづつ変化していくともいえる。ブロークンウィンドウズ理論を逆手にとって身の回りをきれいにすることで自分の心や周囲の人たちも巻き込んでよりよい環境をつくれる。私自身もそういった小さな一歩を毎日着実に積み重ねていきたいと思った次第である。

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