前回は副業のことについて少し述べた。今から数年前まではは会社以外での副業はどちらかといえばタブー視されてきていた傾向があった。理由は本業に支障がでるから、おろそかになるから、内部の秘密情報などが漏洩されてしまうからといったことがあげられると思う。
しかし今では自分の組織にはない斬新なものが発見でき、それを本業に取り入れたり、個人の視野が広がったり、自分の組織では培われないスキルを習得でき、能力が以前よりも高まるなどといった良い面もあげられるようになった。また副業をすることで今の本職との相乗効果も期待できるといった面もあると思う。
特に今の世の中の風潮では昔のように朝早くから夜遅くまで働くといった働き方はブラックと呼ばれるようになってきており、以前に比べて仕事に対して束縛される時間が減ってきたという背景もある。海外では仕事に対する長時間労働を否定する考え方が当たり前で、これからグローバル化していくにあたって、海外の優秀な人材を受け入れたり、これから海外に進出していこうと思っているのであれば、日本の働き方も世界全体に合わせていかなくてはならないのであろう。ところで大切なことはこのような空いた時間をいかに自分にとってプラスに使うかであり、その一例が自分の知見を広げられる副業ではないかということである。
さて過去に戻って副業が禁止タブー視されてきた一世代前でもそれに近い働き方が公認されていたものがある。あくまで自分の考え方で多少ズレている点があったとしてもご了承いただきたい。それは自分の家が商売をしていて自分が後継ぎとして将来その事業を引き継ぐといった場合である。いわゆる二代目とか三代目とかいうもので両親公認のもと他で修行するといった働き方である。
これは送り出す方も、また受け入れる方もお互いにそのことを了承済みということである。すなわち何年後かには辞めるという前提のうえに引き受けるということである。なぜこのようことをするかといえば、同じ家業を継ぐにしても自分のところだけしか知らないと井の中の蛙状態になってしまうということがあげられる。自分の組織内だけにいると特に将来の組織のトップとなることが決まっている人に厳しく言ってくれる人はなかなかいなくぬるま湯につかった状態におちいるともいえる。
逆に外へでることで通常の組織の一員として特別扱いのない状態で働けることにより人間性が養われ、一従業員としての立場の視点ももてそれが将来に家業を継いだ時に活かせる場合があるかもしれない。また意識的にもただ単に報酬をもらうのが目的ではないためお金以外に自分にとって得るものも数多くあると思う。自分の家業にはない違った仕事のやり方や考え方である。
ユニクロの柳井社長も最初流通大手で就職しその後実家の家業を継いでいるが、大手を数年で辞めて実家の仕事に戻ってきた時に実家の仕事のやり方の効率の悪さがものすごく気になったということであった。そこで色々と口を出して改善したところ、古くからの従業員にとっては昔からのやり方を否定されたということで反発をうけほとんどが辞めてしまったそうである。
これも柳井社長がいったん外へでたからこそ内部の問題点が見えて分かったことである。
よって違う世界を見たことによって幅広い視点でものごとをみることができ、それが仕事にも活かされる。昔でいう外で修行をつむことが、今でいう副業にあたることではないかと感じた次第である。
今では「せどり」をはじめとするサイドビジネスが人気であるが、これもネット環境やツールが整った今の時代だからこそできるわけである。自分でビジネスをおこすハードルが以前よりも下がってきており、今からの時代は会社からなどの給与所得以外の収入も得られやすくなったといえよう。自分自身の工夫次第で収入の増減が決まる世界に足を踏み入れることが自分自身の考え方やスキルのアップにつながっていく。そういった今までに見えなかった視点をもてるよう自分自身も研鑽していきたい。
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