第173回　心を込める

よく大量出店をして店の評判を落としたという話をよくきく。一店だけの時は名店して知られていたのに、支店をだしたら味が落ちた、以前とは変わったのではないかということである。

よくあることとしては創業者の目の届かないところまで手を広げすぎたために質が低下したということである。自分一人の時は細かいところまで気を配って最高の商品やサービスを提供できたのに、自分がいないとそれができなくなってしまった。

これはとても難しい。自分は一人だけのため、自分の代わりの人を育てて自分と同じ考え方や行動ができるようにしていかなければならないためである。どこまでそれができるのかにかかってくることが大きい。

基本的に自分の分身をつくるということは自分のコピー、すなわち自分のふだんからの行動や態度や考え方まで相手に知ってもらう必要がある。つまり行動で背中で示すということである。そうした自分自身の気概を示してこそ相手に伝わり、それが自分がいなくてもうまくやっていける秘訣なのではないか。

自分自身に当てはめてみてもまだまだ気持ちの面も含めてできていないといわざるを得ない。店舗運営のノウハウだけ与えてもそれを実行するのは人であり、やはりそれには気持ちといったものも加わっていかないと同じようなものにはならないのではないか。技能だけではなくそれに取り組む姿勢、心の部分が伝わるよう自分自身も全身全霊で取り組み身体全体で示していきたい。