この本を読もうと思った最初のきっかけは本多静六の10分の10貯金法である。えっ収入の4分の1を貯蓄する4分の1貯金方じゃないの?と思われる方もおられるかもしれませんが、収入の1割を貯蓄にまわすといったバビロンの大富豪の教えにあるように月給の何割かを貯蓄するといった言葉には自分自身真新しさは見当たらなかったが、ボーナスなどの臨時収入は10分の10つまり全額貯蓄といった言葉に惹きつけられた。
というのも欲しいものがあるのに今お金が足りずに買えないが、ボーナスが出た場合には買うお金ができるので買おうと思っている場合はよい。しかし何も買いたいものがないのに臨時収入が入ったから何を買おうかといった考え方には異議を唱えたい。
つまりお金があるから何も予定がないものに使うという考え方には自分は納得がいかず、臨時収入は10分の10を貯金するといった考え方をきいてそれは当然だといった自分と同じ感覚に親近感をもてたということがこの本を読もうと思った決め手になった。
本書ではお金に関するそういった考え方もあってか本多静六は順調に資産を増やし続けたが、ある時に多額な寄付をしたといったことで同僚の大学教授から訴えられ退職勧告をうけたことがある。
すなわち一介の大学教授がこんなに多額のお金をだせるのは何かやましいことをしたからではないか、つまりそのお金は何か不正をして得たお金であるといったことが理由であった。
そこでその疑いを晴らすためにその2人の同僚を自宅に招き、これまでの収支の記録をされた帳簿をみせて納得させ事を丸くおさめ解決することができたが、本多静六はこれでよしとはせずそもそもなぜこういったことが起こったのかその根本的な原因を自分の行動行為の中から導き出したのある。
つまりこういうことが起こったのは自分に人から恨まれる原因があったということである。思い当たることといえば、聴衆の前でスピーチをする時に自分が先にでて後から発表する人をしのぐような流暢で人を惹き込む様な発表をすることで自分自身が優越感にひたり、後から発表する人がやりにくいようなやり方、態度をとっていたということである。それが結果としてこのように訴えられたといったことの顛末であった。
このようなことを反省し、今後は後から発表する人の気持ちも考慮して例えば自分の発表の最後に「この件は後から発表する何々さんの方が私よりも詳しいのでこれに関してはその方に譲ります」のような後の人をたてるような言い回しをしようと、それによって自分より後から話す人が気持ちよく壇上にたてる心配りをしようとしたことが自分自身この本を読んでハッとさせられ気づかされたことであった。
本多静六といえば大学教授で専門の山林の所有や株式投資等で財をなしたことで成功したと一般的には知られているが、こういった人間的な考え方も自分自身にとっては大きな学びとなった。自分自身もふだんの行動でこれに近いことをしていないか、何か改めることはないかとふりかえるきっかけを与えられた本であった。
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