よく天気予報で今年一番の最強寒波だと放送されているのを耳にする。これまで雪が降っていなかった現状で最強寒波だと言われて大雪だと構えてみるが、確かに雪は降るもののそれほどの大雪というわけではない。
よくよく考えてみれば自分の子供の頃は雪が毎年積もるのは当たり前で、雪が降っていてある程度積もっている状態がスタンダードの冬の状態。一方で今は雪が積もっていなく気温的には冬で寒く、空がいささか曇っているといった雪がない冬の状態が今の冬の常識である。
同じ「最強寒波」という言葉を耳にしても40年ほど前では、雪が積もって家からほぼでられなく車も走ることのできない「豪雪」といったものを意味していたのに対して、今の「最強寒波」は雪はある程度積もってさらに降り続ける状態を表しているように感じる。つまり自分が子供の頃の冬のスタンダードな状況のことで、雪が積もっていて子供たちが長靴を履いて雪だるまをつくったり雪合戦をしているといった冬のイメージだ。
同じ意味でも時代ごとにその言葉のイメージというか常識が変わってきているように思う。「大雪」という言葉をとってみても今よりも自分の子供の頃の方が雪の量が凄かったのではないか。自分は11月の後半の生まれだが、自分が生まれた50年前の当日は11月であっても雪が積もっていたと聞いている。もちろん今では考えられない。
確かに今の時代に11月で雪が積もっていたら大変なことでニュースにもなる。また自分が生まれるはるか前の1936年の二・二六事件があった日も東京では大雪であったという。今の時代に東京でなくても2月後半に雪が積もることはめったになく自分は毎年3月に入る前、つまり2月中にはスタッドレスタイヤからノーマルタイヤへとタイヤ交換をすでに終わらせているからである。
個人的には雪が降ると交通が乱れ、雪すかしといった手間がかかる作業をしなければならないためできれば降ってほしくはないが、同じ冬の風景でも時代ごとにその常識は変わってきており、ひょっとしたら何十年か後には「最強寒波」とは雪が降って地面が雪で白く覆われているの状態のことをさす言葉になっているかもしれない。
「最強寒波」という言葉だけでなく、例えば「お正月」といった言葉のように昔は家でおせち料理をつくるのが当たり前であったが、今ではおせち料理は取り寄せることが主流であるように時代によってその意味が変化している言葉を探してみるのも面白いのではないか。
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