第154回 心理戦

NHKの大河ドラマを見ていて今回は一番の佳境である関ヶ原の戦いが描かれていた。これは昔からよく知られてはいるが徳川方が敵の裏切りによって勝利がもたらされるという流れになっている。

仮にもし裏切りがなくそのままの状態で戦っていたのならおそらく負けていたのであろう。これは徳川方につくか石田方につくか、どちらに味方を多くつけるかの戦いでもあった。

おそらくおおくの武将はどちらにつくか決めかねていたであろう。そこをうまく相手の心理をついてこちら側につけるのか、そういったことは長年の人生経験を積んでいた家康の方に軍配が上がったといえる。

三成の方も家康よりも多くの武将をはじめは味方に引き入れることには成功したが結局はその心の内側まではつかみきれず寝返りをうけて負けてしまった。このことから自分はなぜ多くの武将が最終的に家康側についたのか、そのことが長年のあいだ不思議であり疑問でもあった。

ここからはあくまで自分の私見であるが、結局は人間性の器の大きさ、長年積み上げられた経験や実績がものをいったのではないだろうか。

ドラマをみていて思ったことは三成の性格はとても几帳面で真面目ではあるが、逆に一部の武将からは嫌われていた。一方家康は三河以来の忠臣に支えられて組織が一枚岩であり団結力がある。まずはこの差。

次に三成は確かに筋を通しまっすぐなところはあるが、なぜか求心力に欠ける。まわりを巻き込んでいくこと、心をつかむことができていなかったといえる。一方で家康は長年の経験からかどっしりと構えており皆の心をつかんでいるようにみえる。関ヶ原の戦いの前回の放送にあったように三成が挙兵したという知らせを受けた時に家康はすぐに反撃するという行動をおこさずに、いったん武将を集めて皆の意見を聞きだし、その中の意見から反撃して三成を討つという流れをつくりだしている。

長年の経験の差、老獪な感じも受けないでもないが、これらのことは自分たちのいる現代社会においても参考になり、通づる部分があると思う。特に組織のリーダーの役割を果たすものにとってはとても重要で学びになることがあったと感じた。

よく部下のやる気を引き出せないとか、もっと自主的に行動してほしいといった悩みなどを聞くことがあるが、いくら自分一人で頑張っても、自分の考える正義を押し通しても人の心はつかめないということである。全体を俯瞰して部下の望むものは何か、なにをやりたいのかといった周りの状況を見る目を常に持ち、どのようなアクションをおこせば動いてくれるのか、進んで仕事をしてくれるのかといったことを見極める目も持たなければならないとも思った。

とはいっても自分にもまだ全体をつかむ余裕は持ち合わせてはいないが、毎日の経験の中からスタッフのことをよく知って、特徴を把握して全体をうまく統率していきたいと今回の放送をみて思った。

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