仕事で大学の職員のグループを対応した際の話。ちょうどその集まりが教授になられた方のお祝いという会であった。自分もその会場で仕事をしていたため、ある人のお祝いの挨拶が耳に入ってきた。
仕事をしながら耳に入ってきた言葉は、教授になる一日前と教授になった今日との違いはほとんど全くない。教授というものは日々自らの課題に挑戦して研究する中で悩んだり気づいたりして悪戦苦闘、切磋琢磨する中で色々な経験を積み重ねてきたものが蓄積していって築き上げられたもの、というような言葉を耳にした。
確かに教授となった今日と准教授であった昨日との違いは肩書が変わったくらいで人間としてのその人自身は一日で何もかわることはない。長年の色々な経験が積み重なった過程で成長していって教授にたどりついたというその歩んできた道のりをたたえた昇進祝いの言葉にはなるほどと納得した。
職種は違えど、店長、部門長、社長という肩書も役割を表しているだけでそれを担うその人自身は何もかわらない。その職務に必要な能力をこれまでにつけてきたからその地位についたわけでありその役職につく前日と当日との違いは全くない。ただその立場に立つ前には分からなかったこともあり、新しい役職について学ばなければならないといったことも多々ある。立場が人を創るという言葉があるが、かえってその仕事をすることで以前よりも成長することもできるのである。
先ほどの教授就任のあいさつの最後では、教授になられたらそれで終わりではなく、その立場を活かして本当に目指したいものに取り組んで活躍してほしいといったようなしめくくりであったと思う。
昇進したことがゴールではなく、そのことで自分の裁量権が増えることでようやく長年やりたかったことができるようになることで世の中や社会に貢献してほしいというのは自分も同じ気持ちである。偉くなるということはそれで終わりではなくその地位を使って何をやるのかといった、本か何かに書いてあった言葉をふと思い出したのであった。
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