第87回 時間のあるうちに

これもテレビを見て感じたことであるが、両親と旅行にいくということを研修の一環としている会社がある。

理由は、旅行というものは両親が元気なうちでないと行くことができない。たいてい体調が悪い時には良くなってから行こうということになる。しかし体調のよい時は今でなくてもいつかは行けると考えて結局は行けなくなってしまったということが往々にしてある。

よって両親が元気なうちに(確か入社5年目だったかどうか忘れたが)その入社年次の社員は両親を連れて、当然費用は会社もちであるが、両親と水入らずで旅行を楽しんでくるというものである。それが親孝行と共に会社のサービス向上につながっていくという趣旨のものであった。

それは番組の一部分のものであったが、自分は確かに「元気なうちは特に今じゃなくてもいい」といった思考に陥るものだと実感した。よってこうした強制的にでも旅行を実施するというアイディアはこれまでには気づきにくい、もっともなものだと感心した。

自分も今年で50歳で両親も当然高齢である。同世代にはもう両親のどちらかが他界していたり、認知症になっていたりしている。幸い自分の両親は特に病気もなく健在である。

よってこの番組に触発されてか先日両親を食事に誘った。誕生日とか記念日とかいったようなものは特にはない。ただ、両親が元気なうちに、外出ができるうちにやっておきたい。後で外食ができなくなった時にあの時にもっといっておけばよかったとならないようにしたかった。

幸い自分と妻を含めた4人で楽しく近況を話しながら楽しい時間を過ごすことができた。ふだん実家に行っても会話はあまりないこともあるが、一堂に会する食事の場であれば強制的に顔を会わせるので会話もでてくる。

食事は楽しかった。母親は相変わらず元気であったが、父親の方は歩き方や所作にやや衰えを感じさせる部分が見受けられた。自然と時は流れていっているんだなと感じた。両親が元気なうちに、また定期的に今後も食事に誘って今しかない時間を過ごしていきたいと思った。

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