第224回 小さな努力を時間をかけて積み上げていく大切さ

今回も自分が毎日寝る前に少しづつ読んでいる「京セラフィロソフィ」からの心に留まった部分について触れてみたい。

数年前に引退されたプロ野球選手のイチローの言葉に「小さなことを積み重ねていくことがとんでもないところへいくただ一つの道」というものがある。昨日読んだ箇所がまさにそのことを思わせるような内容であった。

京セラフィロソフィの中に「常に創造的な仕事をする」という題がついている箇所がある。そこでは京セラがまだ中小企業であった時に稲森氏は「昨日よりは今日、今日よりは明日、明日よりは明後日」と、毎日創意工夫を積み重ねていく努力を怠らぬよう常に心掛けていたそうであり、社員にも仕事をしていく上で「なぜこうなるのだろう」「もっといい方法はないだろうか」と、あらゆることに疑問を投げかけ、また自分で考え工夫していくよう強く促していたそうである。

ここで社員にも訴え続けてきたたとえ話が自分の心に最も響いた箇所だったため紹介したい。

まず掃除一つとってみても今日はこちらから掃いてみよう、明日はあっちから掃いてみよう、またモップを使ってもっときれいにしてみようなどいろいろなやり方を考えることができるはずだ。来る日も来る日も同じことを繰り返すのではなく、どうすればもっと効率よく、また効果的に掃除ができるだろうかと考えてあらゆる工夫を凝らすべきだ。常にそういう意識で仕事に取り組むことが大切だと。

さらに工夫を続けるような人なら、モップよりも効率がよくきれいにできるものはないだろうかと考えはじめ、新しい掃除機を買って使えばこれまでよりも効率よく掃除ができるということに気づく。一時的には高い経費を使ったかもしれないが一年先を考えれば、一人でも掃除ができるわけで人件費などの経費を削減できてかえってコストは低くなるはずだということをいいだすかもしれない。

さらにこれが高じて、社員を雇ってビルの清掃事業を手がけてみたいので独立させてほしいと会社を起こすことにもつながっていくかもしれないのである。今までやってきたさまざまな工夫を通じて掃除のノウハウを知ってるわけなのでビルメンテナンスの事業を始めることも難しくはないということである。

この箇所の結論として、創意工夫による一日一日の変化はわずかなものであるが、三年も続けると掃除担当が立派なビル清掃会社を経営できるようになるなんてどうしたことだろうと皆が不思議に思うくらい大きな変化を引き起こす可能性を秘めているのである。

これを読んで、先にあげたイチローの名言に当てはめてみると、ただ単に小さなことを毎日積み重ねていくだけではなく、その中で毎日わずかではあるが、小さな創意工夫を重ねて日々改善していくなかで最終的にはそれが積み重なって「とんでもないところへいく」のだろうと自分は解釈するようになったのである。

最後に同じことを漠然と毎日続けるのではなく、常に考えて取り組む中での小さな変化の積み重ねこそが最も重要なことであると今回幸いなことに気がつけたのである。

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