第211回 栗山監督

先日、毎週視聴しているテレビ番組「カンブリア宮殿」に栗山監督がゲスト出演していた。この前のWBCで日本の監督をつとめ侍ジャパンを優勝に導いた名監督である。番組では監督の人の育て方などや自身の指導スタイルなどについて語られていた。

自分がこの番組を観て感じたことが二つある。まずは監督自身が現役時代は名選手ではなく、どちらかあといえば教育者のスタイルとして指導にあたっていたということである。野球の監督は組織を運営する経営者としての視点をもっていなければならず、よく将来の理想の姿やビジョンはカラーにみえるまでしっかりと考えなくてはならないといった京セラを創業した稲盛和夫氏の言葉も引用していた。とはいっても栗山監督自身は大変な野球愛がある方で、私財をなげうって野球場をつくったり、選手のフィギュアを集めたり、自身のつくった博物館ではバットなどの展示品を誰でも触ることができるようにしたりなど野球のことが本当に好きなんだなということが伝わってきた。

栗山監督自身、選手時代に何の実績もなかった自分が監督に指名していただいたのはこの野球愛があったから、現役を引退してからも真摯に野球に向き合っていたからだと話していた。やはり純粋に野球が好きだという思いがあることが大切だと思った。

もう一つはまわりの人、チームを信じるという姿勢が一番印象的だった。栗山監督が監督就任にあたってコーチを外から連れてくることはしなく、今いるコーチをそのまま継続して指導にあたらせたことである。今いるチームのメンバーに頼ることでコーチたちはやる気やモチベーションがあがり、就任した年にリーグ優勝を果たすことができたのである。

またこれまでの常識にとらわれずに選手の可能性を信じる起用をしたことも大きい。例えば大谷翔平における投打の二刀流である。これまではプロの世界での常識では、厳しいプロの世界では投打を両方同時にできるほど甘くはなく投打どちらかに集中しなければ中途半端になってしまうなど否定的であった。しかし栗山監督は選手の可能性を信じてこれまでの常識にはとらわれず二刀流を取り入れた。監督自身、「常識」とははじめから常識であったわけでなく、もともと常識ではなかったところからだんだんとふつうになって常識になったのだと語っていた。

このように栗山監督がとても謙虚な姿勢で選手やコーチを信じ、まわりをとてもやる気にさせることに長けた監督であるということが分かった。番組をみてとても学びが多く、人を指導するという自分の仕事にも共通する点も多くとても面白かった。

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